紙文化国際交流協会は京都市西陣地区を中心に、衰退傾向にあった和紙産業の再生に取り組みました。
この取り組みでは、伝統的な和紙製造技術を継承しながら、観光資源としての活用やデジタル技術との融合など、革新的なアプローチを導入。5年間のプロジェクトを通じて、地域の和紙産業全体の収入を30%増加させることに成功しました。このモデルケースは現在、他の伝統産業地域にも展開されています。
京都市和紙産業支援プロジェクトが始まった背景についてご紹介します。
京都市西陣地区の和紙産業は、かつては地域経済の重要な柱でしたが、近年の紙需要の変化や職人の高齢化により深刻な衰退に直面していました。2015年の調査では、過去20年で和紙職人が70%減少し、年間売上高も50%以上低下していました。
2016年、紙文化国際交流協会は京都市と連携し、和紙産業の現状と課題を詳細に調査。その結果、伝統技術の継承だけでなく、新たな市場開拓や付加価値の創出が不可欠であることが明らかになりました。これを受けて、観光、教育、デジタル技術などを組み合わせた総合的な再生プロジェクトが立案されました。
プロジェクトで実施した主な取り組みをご紹介します。
伝統的な和紙職人の工房を改装し、観光客や市民が和紙製造を体験できるワークショップを開発。職人の技術を活かしながら、新たな収入源を創出しました。
「京都西陣和紙」としてのブランド確立と、国内外への販路開拓を支援。特に高級インテリア市場や伝統工芸品愛好家向けの新商品開発に注力しました。
伝統技術の継承と新たな担い手育成のため、若手職人育成プログラムを実施。技術指導だけでなく、経営やマーケティングの知識も習得できる総合的な研修を提供しました。
プロジェクトによって得られた具体的な成果をご紹介します。
京都市、大学、地元企業、職人組合などが一体となった推進体制を構築し、多角的な視点からプロジェクトを推進。
伝統技術の価値を守りながら、現代のニーズに合わせた革新的な取り組みを導入する絶妙なバランス。
短期的な収益改善と長期的な基盤強化を組み合わせた段階的なプロジェクト計画の実施。
プロジェクト参加前は廃業も考えていましたが、体験ワークショップの導入により、技術を伝える喜びと新たな収入源を得ることができました。若い世代の関心も高まり、後継者も見つかりました。本当に感謝しています。
育成プログラムで和紙製造の技術だけでなく、ビジネスの視点も学べたことが大きな転機になりました。今では自分の工房を持ち、伝統技術と現代デザインを融合させた商品を開発・販売しています。
京都市での成功モデルを元に、他の地域へも展開しています。
2019年から開始し、京都モデルをベースに地域特性を活かした施策を展開。特に教育機関との連携を強化し、次世代育成に注力しています。
2020年から開始し、観光クラスター形成に重点を置いた展開を実施。地域の食や自然と組み合わせた総合的な体験プログラムを構築しています。
2021年から開始し、デジタル技術との融合に特化した展開を実施。AR/VRを活用した新しい和紙体験と高付加価値商品開発を推進しています。
紙文化国際交流協会の地域振興ノウハウを活かした支援サービスについて、 より詳しい情報をお求めの方は、お気軽にお問い合わせください。 自治体や地域団体からのご相談も歓迎しています。